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2016年12月19日

中辻 潔(医療ソーシャルワーカー/市立住吉市民病院)

11月25~26日にかけてグランキューブ大阪で開催された「日本子ども虐待防止学会」に参加した際、ブース出店で購入した『走れ!児童相談所』(安道 理)を読了。

「こんなにうまいことケースが運ぶかいな」と思いながら読んでいても、頁を繰るにつれて胸が熱くなってきます。児童相談所関係者のみならず、すべてのソーシャルワーカー必読の書だと思いました(個人的には「SOSA」というケースワーク手法はたいへん勉強になりました)。

 

住吉市民病院にもしばしば、ネグレクトケースで目を覆いたくなるほど痩身になった子どもが児相によって運ばれてきたことがありましたので、そうした個別ケースを思い出しながら読んでいました。

この子どもたちのほとんどが退院後は施設に入所し、たまに外来受診のために施設職員や児相のワーカーさんと待合いにいる姿を見つけます。

保護入院時とは違い、ふっくらとした顔になってにこにこ微笑んでいる姿を見ると、ほんとうになんとも言えない思いです。

 

また、発達障害のわが子とどう接して良いのかわからず、躾のつもりが結果的に虐待していたシングルマザーへの介入ケースが紹介されていますが、(だから、こんなうまく家族再統合できないって!)と思いながらも、読み進むうちに目頭が熱くなってしまいました。

実際にこのようなケースは珍しくありませんし、このように再統合されてほしい、という周囲の思いや希望が巧みに物語化されているからでしょう。

発達障害児は「いや、むかしはそんな『ことば』がなかっただけで、実際はいっぱいいたんだよ」という人がいますが、私は実感として「確実に増えている」と思っています。住吉市民病院でも発達障害児の専門外来の枠を増やしたくらいですから(そうしないと、予約が数ヶ月先になってしまいます)。それでも週に1回しかないので、家族にとってはそれまでのあいだ本当にたいへんだろうな、と思います。それぞれの家族で悩みも異なります。私は直接これらのケースに介入していませんが、診察室に向かう家族の方々とすれ違うたびに、祈るような思いにかられます。

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2016年12月19日