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2017年12月8日

本書を応援していただいている秋山正子先生が共同代表を務めるマギーズ東京のご紹介

マギーズ東京

がん経験者・家族らが自分の力を取り戻す居場所「マギーズ東京」

自分や家族、身近な人が「がん」と診断されたら、たいていの人は、不安と戸惑いでいっぱいになってしまうのではないだろうか?
「どう受け止めたらいいかわからない」「気持ちの整理がつかない」「話を聞いてもらいたい」。
そんな戸惑い孤独な状態にある、がん経験者や家族や友人が立ち寄れる場所が、2016年秋、東京都江東区豊洲に誕生して1年。それが「マギーズ東京」だ。
予約不要、無料で、家庭的なくつろげる環境・空間、そこに医療知識のある友人のような看護師や心理士。ゆっくり話をするうちに、また本人が自分の力を取りもどしていることに気づく―。
「病院でもない家でもない、第二の我が家のような居場所です」という、マギーズ東京センター長の秋山正子さんにお話を伺った。

秋山先生

マギーズ東京センター長 秋山正子さんのプロフィール
訪問看護師。(株)ケアーズ・白十字訪問看護ステーション代表取締役統括所長。特定非営利活動法人白十字在宅ボランティアの会理事長。新宿区介護サービス事業者協議会副会長。東京女子医科大学非常勤講師。厚生労働省がん対策推進協議会委員など。(マギーズ東京ウェブサイトより)

 

マギーズキャンサーケアリングセンターとの出会い

マギーズ東京は、「英国発祥のマギーズキャンサーケアリングセンター(以下、マギーズセンター)のような場所が、日本にも必要」という思いに多くの方が賛同し、協力していただいたおかげで2016年の10月にオープンしました。
私がマギーズセンターを知ったのは、2008年11月に開催された国際がん看護セミナーの席上です。私自身もプレゼンターとして参加していたのですが、たまたまお隣が、イギリスのエジンバラマギーズセンターから来た方だったのです。
マギーズセンターは、造園家で造園史家でもあったマギー・K・ジェンクスさんが乳がんを再発し、「余命数ヶ月」と医師から告げられた時のエピソードから、がんに直面し悩む本人、家族、友人たちのために、看護師・心理士がいて、いつでも気軽に立ち寄り、話ができる場を造ろうとしたことが始まりです。
残念ながら、マギーさんはセンターの完成を見ることなく1995年に亡くなりましたが、その遺志は夫で建築評論家のチャールズ・ジェンクスさんに受け継がれ、翌年エジンバラに最初のセンターがオープンしました。現在では英国で約20ヵ所が運営されており、東京は英国外のセンターとしては、2013年に開設された香港に次いで2番目の施設です。
2008年のセミナーでマギーズセンターの話を聞いたとき、「これは日本にも必要な支援だ」とすぐに思いました。というのも、長く訪問看護を続けてきましたが、訪問看護の場でがんの患者さんや家族と関われる期間はとても短いのです。そして、その限られた時間のなかで、たとえば「患者さん自身や家族は、病院でずっと“がんを治すための治療”を続けきたと思っていたけれど、実はそれは“苦しみを和らげるための緩和治療”で、残された時間はわずかである」というような話をしなければならなかったのです。
「うちは治療病院だから、これ以上は入院できない」という状態になってから、私たち訪問看護師にバトンタッチされるのではなく、外来通院段階から関わって病院と情報共有ができれば、もっといろいろな選択肢があったのではないか。患者さん自身、もう少し気持ちの整理をつけることができ、おだやかに時を過ごせるのではないか。そんな想いを持ち続けていたところに出会ったのが、マギーズセンターでした。
その後、日本国内でのマギーズセンターの実現に向けて活動するなか、在京テレビ局の報道記者で、24歳の若さで乳がんを経験したがんサバイバーの鈴木美穂さん(マギーズ東京の共同代表理事)や、多くの方々との出会いによって、マギーズ東京は誕生しました。マギーズ東京の落ち着いた空間で自然にふれあい、必要なサポートを得て、一度は失ったと感じた自分自身の力を取り戻していかれますよ。

 

病院でもない自宅でもない場所で、自分自身を取り戻す

がんの治療は、今、外来治療が主流となっています。がんが進行している状態でも、外来で放射線治療や抗がん剤治療を行うことが増えています。もちろん、そのこと自体は悪いことではありません。治療法が改良され、抗がん剤の副作用対策などが進み、がんが進行した状態であっても、体力をある程度維持しながら通院できるようになった、ということでもあるからです。
ただ、そうなると患者と医療者の接点は、外来の短い時間に限られてしまいます。家でどんなにぐったりしていても、外来の医師の前では何となくよそいきの顔をしてしまう。「本当は痛みがあるけれど、言ったら薬が増えるし…」と、我慢してしまう人も案外いるものです。
マギーズの活動は、病院での相談支援と補い合いあっています。がんと診断された本人、家族、それに連なる人たちは、ショックと戸惑い、不安の中で、混乱状態に陥っています。相談したいのは、治療内容や身体、お金のことだけでなく、家族のこと、これからの生活のこと、仕事や学校、もしかすると可愛がっているペットのことかもしれません。そんな混乱した思いを、マギーズ東京でゆっくり落ち着いて話したいだけ話すうちに、自分自身の力に気づきまた歩き出せるようになるのです。
マギーズ東京の建物は、英国のマギーズセンターのコンセプトに従って、開放的でくつろげる造りになっています。玄関を入ると左側に大きなオープンキッチンがあり、テーブルは大きな木の一枚板です。内装にもたくさんの木が使われ、窓の外には緑が見えます。看護師や臨床心理士が常駐し、訪問者の話をききます。お茶を飲みに来るだけでも歓迎ですよ。そして、これらは大勢の方の寄付や協力によって無料で利用でき、話をしたくなったそのときに気軽に立ち寄れるように、予約の必要もありません。

 

医療知識を持った友人のような看護師・心理士ら

2016年10月にマギーズ東京を開設した当初は、1,000人ぐらいの人が来てくれたら上出来、それでも多いぐらいだと考えていました。ところがふたを開けてみれば、1年間で6,000人以上の訪問がありました(取材・見学を含む、オープニングフェスは除く)。始めてみてわかったのは、マギーズのヒューマンサポートチームとして関わる看護師たちも、「相手が話し出すまで待って聞く」という関わり方をやってみたかったということです。
マギーズ東京は、今、常勤・非常勤で雇用している看護師や心理士のほか、普段は病院や訪問看護の仕事をしている約20人が協力しています。私たちスタッフは、来訪者に対して「こうしたらどうか」というような指導はしません。情報提供はもちろんしますが、まずはしっかりと受け止めて、寄り添って話を聞くうちに、相談者自身が自分で答えを見つけていくのです。私たちは、医療知識を持った友人のような存在に徹しています。全国のがん診療拠点病院にある「がん相談支援センター」をご紹介することもよくありますよ。
がんは日本人の死因のトップで、生涯のうち何らかのがんと診断されるのは、2人に1人と言われるほど多いのです。病院の外にも、相談できる場所、思いを話せる居場所が必要なんですね。

 

最後になりましたが、酒井たえこさんの『がん患者の家族を救う55のQ&A』は、がん患者を支えた家族としての経験と知恵が詰まっています。看病の経験やその時感じた想いを、わかりやすい言葉で伝えるということは大きな作業で、誰にでもできることではありません。

ぜひ、多くの人に手に取っていただき、「自分たちらしい生き方」を見つける手助けにしていただければと思います。

表紙

マギーズ東京ホームページ

 

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